はじめに
飲食店を始めたいと思ったとき、多くの方がまず直面する疑問が「どんな資格や許可が必要なの?」という点です。
実際に開業するには、最低限必須となるものから、業態や営業時間によって追加で必要となるものまで、複数の資格や許可があります。
この記事では、飲食店開業に必要な資格・許可を整理し、取得の流れや注意点、よくある疑問を分かりやすく解説します。
これを読めば、開業準備のスケジュール感やチェックリストが明確になるはずです。
飲食店開業で必須となる資格・許可
1. 食品衛生責任者
- 全ての飲食店に必須
- 調理経験や資格のないオーナーでも、1日の講習を受けることで取得可能
- 費用は都道府県によって異なるが、おおよそ 1万円前後
- 各店舗ごとに必ず1人の配置が必要(オーナー自身が取得するケースが一般的)
POINT:
店舗を複数展開する場合、それぞれの店舗に食品衛生責任者を置く必要があります。
2. 飲食店営業許可(保健所)
- 店舗オープン前に保健所へ申請し、許可を取得する必要がある
- 店舗の設備(シンクの数、手洗い場、換気、冷蔵庫など)が基準を満たしているか検査される
- 開店の2週間前までには申請しておくのが理想
取得までの流れ:
- 物件が決まったら内装工事計画を立てる
- 保健所に事前相談し、基準を満たすよう工事を進める
- 設備工事完了後に申請書類を提出
- 保健所職員による現地検査
- 問題がなければ営業許可証が交付される
店舗の業態によって必要になる許可
1. 深夜酒類提供飲食店営業(警察署)
- 午前0時以降に酒類を提供する場合に必要
- 居酒屋、バー、クラブなどが対象
- 営業開始の 10日前までに警察署に届出 を提出
- 防犯カメラの設置や照明基準など、追加の設備要件がある
2. 防火管理者(消防署)
- 店舗の収容人数が 30人以上 の場合、防火管理者の選任が必要
- 所定の講習を受講して資格を取得する(2日間の講習で費用は数千円程度)
- 消防署に「防火管理者選任届」を提出
3. 酒類販売業免許(税務署)
- 酒を「小売販売」したり「通信販売」する場合に必要
- レストランで提供するだけなら不要だが、ボトルを持ち帰り販売する場合などは必須
- 申請から許可までに 2〜3か月かかる こともあるので早めの準備が必要
4. 喫煙室設置の届出
- 健康増進法に基づき、喫煙可能室を設置する場合は保健所や都道府県に届出が必要
- 分煙設備や換気基準を満たすことが条件
資格・許可取得のスケジュール例
| 時期 | 主な準備 | 取得・申請 |
|---|---|---|
| 開業6か月前 | 物件探し、コンセプト決定 | - |
| 開業3か月前 | 内装工事計画、業者打合せ | 保健所へ事前相談 |
| 開業2か月前 | 設備工事 | 防火管理者講習受講 |
| 開業1か月前 | 工事完了 | 保健所に営業許可申請、消防署へ届出 |
| 開業2週間前 | 保健所検査 | 許可証交付 |
| 開業直前 | - | 深夜営業届出(必要な場合)、酒販免許申請 |
よくある質問(FAQ)
Q. 食品衛生責任者は従業員でもいいですか?
→ はい。店舗ごとに1名配置すれば良いので、店長やシェフが担当するケースも多いです。
Q. 午前0時までの営業なら深夜酒類提供の届出は不要ですか?
→ はい。0時を超えて酒類を提供する場合のみ必要です。
Q. 酒類販売業免許は、店内提供とは別ですか?
→ はい。店内提供は営業許可でカバーされますが、持ち帰りや通販は別途免許が必要です。
Q. 保健所の検査でよく指摘されるポイントは?
→ 手洗い場の設置位置、シンクの数、冷蔵庫の温度管理、換気設備などです。
まとめ
飲食店開業においては、
- 食品衛生責任者の資格
- 保健所の営業許可
が必須。そのうえで業態に応じて、 - 深夜営業届出(警察署)
- 防火管理者(消防署)
- 酒類販売業免許(税務署)
などが必要になります。
資格や許可の取得には時間がかかるものもあるため、開業準備は余裕を持って進めましょう。行政窓口への事前相談も欠かせません。



